2024.7.11

2024.10.24

機械式腕時計のハック機能とは何か?デメリットは?

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知識
時計のハック機能

現在、主流となっている腕時計は電池で駆動する誤差の少ないクォーツ式やソーラー発電時計、また時刻修正を自動で行ってくれる電波時計・スマートウォッチなど多いため、自分で腕時計の時刻や秒針合わせを行っている人は非常に少ないです。

一方で近年最ブームになっている、古くからの機械式手巻き腕時計は最先端のメカニズムを持つ腕時計と比べ、精度も劣るので、付属のリューズを使用してゼンマイの巻き上げや狂った時間の修正などを行う機能が備わっており、定期的に使用する必要があります。

基本、機械式手巻き腕時計はゼンマイを巻き上げる事で時計が駆動し時間を刻み、一日に数秒・一か月で何分かの誤差(狂い)が生じます。

自動巻き上げ式もこの問題はつきもので、付属しているリューズを引き出し定期的に時刻合わせを行う事が必要です。

この際に重要な機能がハック機能で、ハック機能とはリューズを一杯まで引き出した時、秒針が停止する機能を言います。

機械式手巻き腕時計が製造されていた初期にはこの機能は存在しませんでしたが、戦争が始まってから兵士が身に着けている腕時計に必要となり搭載され、現在は一般的な機能になっています。

「ハック」の語源は、戦時中に兵士たちが作戦の遂行の為にお互いの時刻をぴったり合わせる必要があり、リューズを引き出したとき「ハック!」という掛け声で時間を合わせた事が由来です。

ここでは機械式腕時計の重要な機能であるハック機能について詳しく調べていきます。

特に1960年代以降に製造された一般向けの機械式腕時計には、ほとんど備わっている機能ですので、ハック機能がある・無しの違いや、必要・不必要・デメリットの問題についても紹介しますので、是非この機会にご一読下さい。

ハック機能は時刻を秒単位で合わせることに使われる?

機械式腕時計はゼンマイを動力として針を駆動させる事で時刻を刻み、動力を針に伝えるために歯車などの部品が複雑な動作により働くため、宿命として一日何秒かの誤差、それが積み重なることで発生する1ヶ月に生じる月差が起こります。

よって、定期的に機械式腕時計は時間の修正が必要であり、これを行うためのリューズはとても大切な部品になります。

リューズには複数の役割を備え、デイト付きの機械式腕時計場合、2段階にリューズが引けるようになっており、1段引きあげると日付の変更が可能になり、2段に一杯引き上げると時針・分針を回転させ、時刻が合わせられる仕組みです。

時計のハック機能

この2段に一杯引き上げた状態のとき、ハック機能を搭載している腕時計の場合は、秒針も停止して動かなくなるようになっています。

タイミングを取って12時の位置で秒針が停止するようセッティングすれば、秒単位で時間を正確に合わせる事ができ、より正確に時計を動作させる目的で便利な機能です。

リューズを深く押し込むと、ハック機能は解除され秒針が動き出します。

ハック機能のメカニズムとは

ハック機能を作動させるメカニズムは、リューズを引いた際にリューズと連動したレバー(規制レバー)が飛び出て、時計の駆動をつかさどるテンワという部品を押さえつけ動きを停止させるという造りになっています。

ム―ブメントのタイプによっては、テンプの他にリューズに近い歯車の4番車を押さえるものなどありますが、基本的な原理は同じです。

ハック機能がある時計と付いていない時計ではどのような違いがありどのタイプの時計に特に使われる機能なのか?

メーカーや機械式ムーブメントの構造によっては、ハック機能は付いているものと付いていないものに分かれます。

機械式時計初期のものや、手巻き式ムーブメント搭載の腕時計の場合は、ほとんどのモデルがこの機能は付いていません。

一方、自動巻き上げ機能が発明されてからの機械式自動巻きムーブメント搭載の腕時計・クロノグラフ機能付きのモデルはほぼハック機能が搭載されています。

ハック機能が付いていない腕時計は、秒針を事項合わせの際停止できないため、時間にうるさい人にとっては正確な時間が合わせにくいです。

その代わり、歯車や複雑部品への負荷は軽くなるので、耐久性が上がるメリットがあります。

ハック機能付き腕時計の場合は、リューズ操作によって秒針を停止させることができ、より正確な時間合わせを実現します。

ちなみにクロノグラフ機能のスタート・ストップ動作はハック機能の原理を使用し実現した機能です。

正確で精度の高い時間合わせが可能ですが、歯車や複雑部品への負荷が生じ、耐久性の面でハック機能の無いムーブメントより耐久性の面でメカニズムがデリケートになります。

一般的にハック機能はゼンマイの巻き上げを振動で行う自動巻きのように、パワーリザーブが長いムーブメントに搭載されることが多く、防水機能やクロノグラフ機能が付いている機械式腕時計に採用されています。

自動巻き時計にはハック機能がどうしても必要か

自動巻きムーブメント搭載の腕時計に多いハック機能ですが、果たして自動巻き腕時計にハック機能はどうしても必要な機能なのでしょうか。

秒針を時間合わせの際停止するという機能自体、発祥のきっかけが戦争による正確な時間の共有にあり、それが戦後になり一般腕時計に広まり機能として定着した背景があります。

ですので、厳密にいえば必ずなくてはいけない機能ではありません。

実際、アンティークウォッチのコレクターや時間の正確さにシビアな意見を持っていない人は、購入の際あえてハック機能が付いていないモデルを探す人もいます。

しかし、現在のように腕時計のメカニズムも進化・多様化し、時間がほとんど狂う事の無いクォーツ式や電波時計の腕時計が主流を占めている時代に、機械式腕時計を愛用している人にとっては秒針まで停止させて時間の修正を行うという行為は、日差・時差・月差という時間の狂いを問題として抱えている関係上、必要なものになると言えます。

特に日々時間に追われて生活している現代人には、機械式腕時計を愛用するにあたって、ハック機能は需要の高い機能です。

ハック機能はあると便利な機能だが部品に負荷がかかりやすくメンテナンスが必要なのでデメリットもある

時刻合わせの際にリューズを引き上げる動作で秒針を停止させるハック機能は現在、機械式腕時計に限らず、クォーツ式腕時計にも多く搭載され、腕時計にとって標準的な機能になっています。
下記画像はとあるムーブメントの規制レバーです。この状態はリューズを押し込んである状態です。

しかし問題としてハック機能の作動するメガニズムがムーブメントの精密部品に大きな負担となり、疲労・摩耗の頻度がハック機能が付いていないムーブメントと比較して高くなります。

ですので、製造メーカーや腕時計修理専門店に定期的にメンテナンスを依頼する事はとでも重要で、特にオーバーホールは長く良好な状態で腕時計を使い続けるために必要不可欠な作業です。

確認方法として、リューズを回した際に異音が聞こえたり、通常と操作感覚が異なる場合は一度目製造メーカーか腕時計修理専門店に点検してもらう事をお勧めします。
具体例を1つ挙げると、自動巻き時計で手巻きを行った際にローター(回転錘)が連れ回ってしまうケースがあり、その場合のほとんどは潤滑油の劣化による不調があったりします。

特に長い期間使用している腕時計ほど、部品の摩耗や疲労でもろくなっている場合が考えられるので、速やかに点検を受けるのが賢明です。
また、リューズを操作して行う時間合わせやゼンマイの巻き上げ・ハック機能については、定期的にオーバーホールを行っていないモデルほど、トラブルが発生しがちになります。

点検の際、異常があってもない場合でも、しばらくメンテナンスをしていない腕時計はオーバーホールを依頼するようにしましょう。

一番手っ取り早いのが所有している腕時計の製造メーカーへ依頼するのが安心ですが、メーカーによっては結構料金が高額なケースもあるので、そんな場合は優秀な評判の良い腕時計修理専門店へお願いすると、お得な料金でオーバーホールできる店舗が多いです。

腕時計種類別オーバーホール料金目安(基本料金相場)

腕時計搭載ムーブメント仕様 修理専門店 メーカー依頼
クォーツ式ムーブメント 10,000円~(基本料金) 18,590円~(基本料金)
機械式ムーブメント 15,000円~(基本料金) 22,800円~(基本料金)
機械式自動巻きムーブメント 19,800円~(基本料金) 22,800円~(基本料金)
機械式自動巻きクロノグラフ 25,000円~(基本料金) 32,890円~(基本料金)

参照:オリエント公式サイト

あくまで基本料金ですので、メーカーや腕時計修理専門店によって料金に幅はありますが、最低料金の目安がこの位と予想されます。

また、腕時計修理専門店の場合は、依頼する修理店によって技術の差がありますので、なるべく信用度の高い、優秀な修理店を選択して依頼することをお勧めします。

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機械式腕時計のハック機能はあると便利な機能だが定期的なメンテナンスに気を配る必要がある

機械式腕時計、特に自動巻きムーブメント・クロノグラフ機能を搭載したモデルのほとんどに採用されている、現在では基本的な機能とされているのがハック機能です。

このリューズの引き上げで秒針を停止させることでより正確な時間合わせを実現した機能は、普段機械式腕時計を愛用している人でも、あまり意識して使用していない人が多いです。

ですが、より正確な時間合わせを望んでいる人にとっては重要で、非常に便利と言えます。

必ず無くてはならない必須機能というわけではないですが、構造特性上、どうしても日差・月差という誤差を生じてしまう機械式腕時計を愛用している場合、意識して使用した方が良い機能です。

ただ、ハック機能の構造上、秒針を停止させるための部品に負荷がかかり、定期的にオーバーホール等のメンテナンスに気を遣う必要があります。
4~5年前後に1回のオーバーホールを推奨しているメーカーが多いようです。

通常、こういったメンテナンスは所有している腕時計の製造メーカーへ依頼するのが早道ですが、メーカーによっては高額なところも多く、選択肢として優秀な評判の良い腕時計修理専門店へ依頼するのもおすすめです。

機械式腕時計の場合、クォーツ式や電波時計などと比較して、商品価値は非常に高いですが、定期的なお手入れに気を配ることが使用する上で重要ですので、所有している腕時計が機械式でハック機能搭載の場合は、メーカーか腕時計修理専門店へオーバーホールを定期的に依頼する事を心掛けてください。

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