機械式の時計は200個を軽く超える部品数で構成されており、部品同士の接触箇所や歯車の軸には油が注してあります。歯車も緻密に嚙み合って動いているので、定期的なオーバーホールというのは必須になってきます。
一般的にも機械式の時計はオーバーホールが必要だということは多くの方がご存知だと思います。
しかし、それに対してクォーツの時計はオーバーホールは必要ないと思われていることが実は多いのです。
確かに機械式の時計と比べればオーバーホールの頻度は少なくて良いのですが、クォーツ時計も内部の部品や歯車に油を使用していることに変わりはないのでやはりオーバーホールは必要になります。
今回はクォーツ時計のオーバーホールの必要性や価格、注意点等についてご紹介していこうと思います。
Contents
オーバーホールが不要と思われている理由
クォーツ時計のオーバーホールが必要ないと思われている理由はいくつかあると言われています。
機械式と比べて高精度なので不具合に気づきにくいこと、基本的には止まったら電池交換すれば動くようになること、価格帯が機械式時計と比べると安価なので修理をするよりは買い替えの選択肢がでてくることなどが挙げられます。
機械式時計の精度は日差で数秒のズレが発生しますが、クォーツ時計は月差や年差で数秒~数十秒の誤差しか生じないため不具合が分かりにくいということがあります。多少の遅れ、進みでも月に数十秒程度なら気にしない人の方が多く、そのまま使用してしまうのです。
また、クォーツ時計の場合は止まったとしても電池交換をすれば余程の不具合がない限りはまた2~3年は動き出すので、そのまま使い続けることができます。電池交換の料金も1,000円~2,000円くらいで受けてくれる修理店も多いため、オーバーホールの必要がないと思われてしまっています。
そして、仮に修理が必要な状態であったとしても、オーバーホールに数万円かけてまでは修理をしないという方も一定数おります。元々安価で購入しているので費用がかかるならば買い替えた方がお得であると考えるのです。
オーバーホールの必要性と頻度は?
上記のような理由でオーバーホールをされない方もいますが、クォーツ時計も精密機器であるので、安定した状態で長く使用するならばやはりオーバーホールは必要になります。高級ラインのクォーツ時計であれば買い替えるよりも費用は安いですし、思い入れのある時計であれば直して使おうと思うでしょう。クォーツ時計も長く使っていくために機械式時計と同様に定期的にメンテナンスをすることをお勧めします。
クォーツ時計の主な動力は電池と電子回路ですが、歯車を使っている点は機械式時計と同じになります。時計がスムーズに動くように潤滑油も使われており、経年劣化で油が汚れていくのも同じになります。長期間メンテナンスをしていないと油が劣化して歯車の動きが悪くなり、電池の消耗が早くなったり精度が不安定になって進みや遅れが大きくなっていき、最終的には止まってしまいます。
内部の油の状態や電池の消耗具合などは目に見える部分ではないため、どうしてもメンテナンスへの意識が薄くなってしまいがちですが、上記のような状態にさせないためにも定期的にオーバーホールを行うことが必要なのです。クォーツ時計の場合でも5~6年を目安に、特に不具合が出ていなくてもオーバーホールに出すようにしましょう。
オーバーホールの費用と期間は?
クォーツ時計のオーバーホールにかかる納期はブランドや機能、時計の状態によって変わりますが、約3~4週間程度が一般的かと思います。
シンプルな2針や3針のクォーツであれば2週間程で仕上がる場合もあります。
時計修理専門店のクォーツ時計のオーバーホール金額
費用に関してもブランドや機能によりますが、時計修理専門店であれば
国産のブランド | 約9,000円~ |
スイス製などの海外ブランド | 12,000円~20,000円程 |
クロノグラフ | 15,000円~25,000円 |
といった価格帯が多いようです。
メーカー修理の場合はSEIKOやCITIZENといった国産メーカーであれば修理金額が時計の定価に対していくつかランク分けされているので安くメンテナンスできるケースもあります。
海外ブランドになりますとそれぞれのブランドで料金が一律になっていることがほとんどですので、比較的高額な料金設定になっています。
時計の症状にもよりますが、通常のメンテナンスであれば民間の時計修理会社を利用した方がかかる費用は少なくなることが多いので比較してみるのも良いと思います。
クォーツ時計の注意点
クォーツ時計を使用するうえで注意した方が良い点がありますのでそれも紹介していこうと思います。
電池の液漏れ
腕時計に使われているボタン電池は寿命直前まで一定の電圧を安定して放電し続ける特性があります。ですが、稀に電池に含まれる電解液という液体が外部に漏れだしてしまうことがあります。これを「液漏れ」と呼びます。
腕時計の場合、電池切れで動かなくなってしまった時計の電池をそのまま長期間入れっぱなしにしてしまい、液漏れを引き起こすケースが多いです。(上記図参照)
液漏れしてしまうと電解液が時計の内部に侵入していき、回路や部品などを腐食させてしまうのです。もちろん電池交換では時計は動きませんし、腐食した回路や部品は交換が必要になり、オーバーホール時にかかる費用も高くなってしまいます。
クォーツ時計は止まったらそのままにせず、早めに電池交換に出すようにしましょう。もしも、しばらく使用しない場合は電池だけでも抜いておくことをお勧めします。
磁気帯び
機械式時計でもクォーツ時計でも磁気帯びしてしまうと精度に狂いが生じてしまいます。進み、遅れ、止まりなど状態や環境によって症状はいろいろ違うのですが、正常に作動しなくなるという点では同じ不具合になります。
さらに、クォーツ時計の場合は磁石の性質を使った部品(ステップモーター)が取り付けられているため、実は機械式時計よりも磁気の影響を受けやすくなっています。強い磁気を発している製品に近づけると内部のステップモーターが影響を受けてしまい、精度が不安定になったり止まったりしてしまうのです。
例として挙げるとバッグやカバンに時計を入れていて使おうと取り出したら時刻がズレていたという場合が分かりやすいかと思います。バッグやカバンの金具は磁石が使われていることが多く、時計がその影響を受けて一時的に磁化してしまい、時刻がズレたり止まったりしてしまうのです。
この場合は取り出せば影響を受けなくなりますのでまた普通に使用できるようにはなりますが、長時間強い磁気を浴び続けると内部の回路等に異常が生じて故障に繋がってしまうこともありますので、磁気製品には注意が必要です。
現代ではスマートフォンやパソコンなどの製品は身近に溢れています。磁気は目に見えるものではないので完全に防ぐのはなかなか難しいとは思いますが、そういった製品と至近距離に時計があると磁化してしまうということだけでも知っておくと時計の扱い方は違ってくると思います。
まとめ
以上、クォーツ時計についての紹介でした。
クォーツ時計はメンテナンス不要と思っていた方でもオーバーホールが必要ということが分かっていただけたかと思います。
機械式時計に比べればランニングコストは安く済みますし、時刻のズレも少ないので非常に便利ではあるのですが、メンテナンスを全くしなくて良いというわけではないので、少しでも長く使おうと思うならば5~6年くらいを目安にメンテナンスに出すように心掛けましょう。
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