リューズとは時計の外側に付いている突起部分のパーツのことを指します。日本では「竜頭」と書いていたのが語源であると言われています。英語表記ですと王冠の形をしていることから「crown(クラウン)」と呼ばれています。
特殊な仕様のモデルを除き基本的にはどの時計にもついているもので、一般的には時刻合わせやカレンダーの操作、ゼンマイを巻き上げる機能があります。
普段から触る箇所でもあり、内部のムーブメントと連動して動くため、ユーザーの方々も不調が出た際の違和感は感じやすい部分かと思います。
今回はリューズの不具合が発生してしまった際の原因と対処法を紹介していきます。
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リューズが硬くなる原因
リューズが硬くなる場合の原因として考えられるのがリューズ周辺の部品の不具合になります。湿気や水分の侵入による腐食やサビ、パッキンの劣化、油切れでの部品の劣化・摩耗などが挙げられます。
症状としてはリューズによる手巻きが重くなる、リューズの押し引き(段引き)の動作がしにくくなる、針回しが重くなるといったものになります。普段使っている状態と比べて上記のような違和感を感じたら注意が必要です。
一例ですが、下記の図はリューズの根元付近にサビが発生して硬くなっていた状態のものです。
多少硬くなっても大丈夫だろうとそのまま使い続ける方が多いのですが、時計の内部で異常が発生している可能性が高いのであまりお勧めできません。サビの発生により軸の部分(巻き芯)も腐食しているため、無理に力を加えてしまうと折れたりリューズ本体を破損させてしまいます。違和感を感じたら早めに修理店に相談するようにしましょう。
対処法としてはリューズ本体だけではなく内部にも原因がある症状なので、高確率でオーバーホールが必要になります。加えて摩耗や破損している部品があった場合はそれらの交換も必要になります。
汚れやホコリ等が溜まりやすい部分でもあるので普段からブラシなどで手入れをしておくとサビや腐食の発生を抑えることができますので、予防策としては有効かと思います。
リューズが緩くなる原因
反対にリューズが緩くなる原因として考えられるのはゼンマイ切れ、歯車類の破損、リューズ本体の摩耗などが挙げられます。
リューズは巻き上げを行うことでその先にある歯車を動かし、ゼンマイを巻き上げる仕組みになっています。歯車が上手く噛み合っていなかったり、ゼンマイが切れたりしていると、力が伝わらずに空回りをしてしまいます。
実際に修理でも「リューズを回しても全く手ごたえが無い」という内容の相談は多いです。そのほとんどは金属疲労によるゼンマイ切れの症状なのですが、稀に歯車の破損やリューズ本体の摩耗でもリューズが軽くなるという症状は出ます。
いずれにしても時計として使用するのは難しく、確実にオーバーホールが必要な状態ですので修理店に相談するのが良いでしょう。
リューズが取れ(抜け)てしまった
硬い状態のリューズを無理矢理回したり、必要以上に強く引っ張ってしまうとリューズが抜けたりすることがあります。リューズは巻き芯と呼ばれる部品と接着してあるので、強い力が加わると巻き芯ごと抜けてしまいます。(上記で紹介した画像の状態です)本来は抜けないように段差の部分に部品同士が重なってロックされているのですが、力が加わることでその部品が外れてしまったという状態になります。
当然、この状態では何も操作できないので修理が必要になりますが、元の状態に戻そうと無理に作業をすることはお勧めできません。戻す際に他の部品を壊してしまう可能性もありますので、抜けたリューズは失くさないようにして修理店に相談するようにしましょう。
また、リューズの頭の部分だけ取れたり折れたりする症状もあります。事例としてはぶつけたり落としたりしてしまった衝撃でリューズと巻き芯部分が折れてしまうケースや巻き芯部分の接着が経年劣化により外れて取れてしまうケースなどがあります。
この症状はリューズ本体だけが分離するのでリューズを紛失しやすいという点に注意が必要です。ほどんどのケースが気付かないうちに取れているので見つけるのは難しいのですが、紛失してしまうとリューズ交換が必須となってしまいます。
純正のリューズはブランドにもよりますが、数千円程度で交換できるものもあれば1~2万円くらいかかるものもあります。ROLEXのリューズですと3万円以上かかってしまいます。
状態によっては交換せずに修理や調整で元のリューズが使用できる可能性もありますので、紛失していない場合は失くさないよう大切に保管しておき、修理店に持ち込むことをお勧めします。
リューズロックができなくなった
ダイバーズウォッチなどの高い防水性能を求められる時計には「ねじ込み式リューズ」と呼ばれるものが採用されていることが多いです。
ねじ込み式はその名の通り、リューズ部分がネジを締めるような仕様になっており、ねじ込むことで防水性能を高める構造になっています。通常のリューズと違い、カレンダー変更や時刻合わせの前後にリューズの開閉作業が加わる形になります。
特に注意が必要なのはリューズを締める時です。押し込みながらリューズを締めていくのですが、力任せに無理矢理ねじ込んだり、真っ直ぐに押し込めていないとリューズのネジ溝が削れたり潰れてしまいます。ネジ溝が摩耗してしまうと防水性能も低下してしまいますし、最悪の場合は下記の図のようにねじ込みが一切できない状態になってしまうこともあります。
ねじ込みができなくなった場合はネジが完全に摩耗して潰れてしまった状態になりますので交換が必要になります。防水性を高めるために特殊な加工がされている時計もあり、メーカー修理になってしまうケースもあります。
少しでも違和感を感じたらねじ込みを最初からやり直すようにしましょう。
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まとめ
上記に紹介した通りリューズの不具合は珍しいことではありません。触れる機会の多い部品であり、外装部品でもあるのでトラブルが起きやすいデリケートな箇所であると言えます。
修正や調整等の修理で改善できれば良いのですが、万が一本格的にリューズ部分が破損して交換することになってしまうと予想以上に費用がかかる場合もあります。また、特殊タイプの時計やブランドによってはリューズ自体の入手ができないことがあるので、メーカーでの修理が必須になってしまうケースもあります。
時計の内部と直結している部分でもありますので、リューズが硬くなったり、空回りして軽くなったりの症状が出たら要注意です。本格的に動かなくなる前にメンテナンスに出すことをお勧めします。