時計は長らくご使用になると内部のオイル状態が悪くなり、歯車等の部品が滑らかに動く事ができなくなります。その結果、部品は強く擦れ合い共に傷つけ合い、部品が削れていってしまいます。この事を摩耗と言います。
時計は精密機会のため小さな部品でも摩耗してしまうと精度を狂わせてしまい針の遅れや進みが生じてしまいます。最悪の場合は止まって故障してしまいます。
Contents
パーツが摩耗した場合はどうなるの?
パーツが削れてしまうと時計の精度を狂わせてしまうため、正常な部品に交換する必要があります。
摩耗した部品が多ければ交換部品の数も多くなってしまうので、その分修理費がかかってしまいます。
オーバーホールはどのくらい頻度で行うの?
オーバーホールは、その時計をどう使っていたのかで大きく異なりますがゼンマイを動力として動いている機械式時計の場合3〜5年前後に1度、電池式のクォーツ時計の場合7~8年と推奨されています。
どこでオーバーホールの判断をしてもらえる?
オーバーホールのタイミングを判断してもらいたい場合は、メーカーのテクニカルサポートセンター、または時計修理専門会社の職人に依頼する事ができます。
メーカーのテクニカルサポートセンターのメリットは自社で開発した時計のため、製品に詳しく安心して依頼ができますが、ちょっとした不具合でもパーツ交換をしてしまう傾向があるため、メンテナンス料金が高くなりがちというデメリットもあります。
修理専門会社に依頼した場合はメンテナンス料金がメーカーに比べ安く抑えられるのが一番のメリットになりますが、オーバーホールや修理の技量は、職人によって異なるため、同じ修理専門会社の中でも確かな職人にあたるか分からないというデメリットがあります。
確かな職人に直接依頼ができる
時計のメンテナンスは、同じ機材や工具を使用していても使いこなす職人の技量による差は大きです。そのため出来ばえも異なってきます。
同じ修理会社でも経験が豊富で技術が高い人もいれば、そうでは無い人もいます。
本サービスでは、経験技術共に豊富な職人のみ提携させて頂いています。メーカーに依頼するのは安心ですがメンテナンス料金が高くなりがちです。クラフトワーカーズでは確かな職人にメーカーより安く依頼が可能です。
機械式時計のオーバーホールの流れ
機械式時計のオーバーホールのおおまかな作業工程をご紹介します。
STEP:1オーバーホールの必要があるか判断する
タイムグラファーという機会で、お預かりした時計の精度計測を行います。
時計を専用のマイクの上に置くことで日差の計測ができます。
計測した結果、問題が無いようでしたらオーバーホールは行わなずにお客さまへ返却いたします。
STEP:2 分解を行い見積もり製作
オーバーホールを行うべきと判断した場合、分解を行い見積もり製作をします。
分解を行う理由は、内部に交換が必要な部品が無いか判断する為です。
まずは、傷つけないように裏蓋をオープナーで開け、時計の中身を外へ出します。
STEP:3 針を外します
針は時計部品の中でも傷つきやすく曲がりやすいのです。力加減や掴み方を考慮して丁寧に外していきます。
また針を外す為の道具も丁寧に手入れを行うのが基本です。
STEP:4 文字盤を外す
ムーブメントと文字盤を別に分けなければ分解が行えないため文字盤を外します。
少し分かりずらいですが取り外しされたムーブメントには鉄粉や油汚れが付着してるのが分かるかと思います。
こういった汚れは精度に影響が及びますので、オーバーホールでは綺麗に洗浄していきます。
STEP:5 ムーブメントを分解し状態確認
ムーブメントの部品を1つ1つ丁寧に外し状態を確認し、劣化や破損の有り無しを特定しお見積もりを製作します。
見積もり製作を行なうには分解し状態確認が必要なため。約1~2週間のお時間を頂いております。
お見積にご了承いただいたうえでオーバーホールを開始します。
※お見積もりは無料です。
STEP:6 細かいサビを落とす
正式にオーバーホールの依頼を頂いたあと各部品の汚れを取っていきます。
長い期間オーバーホールを行なっていなかった時計の内部は摩耗した鉄粉やチリが付着していますので、小さな汚れを丁寧にハケで取り除いていきます。
STEP:7 超音波洗浄機で洗浄
分解された部品にはハケが入りきらない細かい隙間や、落とし切れない古い油汚れが付着しています。
各部品を洗浄バスケットに納め超音波洗浄機を使い綺麗に洗浄します。
それぞれの機能別に分け、組み立て時のネジの入れ間違いを防ぎます。
テンプのような繊細な部品は小分けにして納めます。
STEP:8 ベンジンで手洗い
古い油は経年により酸化してしまい、金属を腐食させる恐れがあるため、超音波洗浄機で落とせなかった油はハケとベンジンを使い徹底的に手作業で落としていきます。
STEP:9 組み立て・注油
洗浄して綺麗になった部品を一つ一つ慎重に組み上げ油を注入していきます。
注油する油が少ないと摩耗につながり部品の劣化を早めます。逆に多すぎると油漏れを起こしてしまし精度に影響を及ぼしてしまいます。
重い油や軽い油など種類は主なものとして、4種類の油を使い分けます。
重いというのは、油の粘度の事をさし、軽い油はサラサラ、重い油はドロドロように粘り具合を示します。
油の量はムーブメント毎にきめられていているので適切に注油する必要があります。
STEP:10 精度のチェック
ムーブメントが組みあがったら精度チェックを行います。
タイムグラファーに時計を固定して遅れ進み、振り角、振動数を計測しコンディションを調整していきます。動いているだけじゃなくどの向きで計測しても良好な状態な事が大事です。
精度が悪い場合は分解からやり直す事もあります。
機械式時計の精度の調整は、とてもデリケートで技術が要求されます。
コンディションが整ったら、文字盤と針を取り付け、ケースにムーブメントを組み込み元の腕時計の状態に戻します。
STEP:11 ファイナルテスト
時計を立体的に回転させるサイクロテスターという専用機器を使用し実際の使用状態と近い環境をつくり1週間前後連続して全体的な姿勢差を測定します。
正確に時間が刻まれているかゼンマイがきちんと巻き上げられるのかチェックします。
STEP:12 防水試験
防水性が記載されている時計は、空気気圧により防水試験機によりをチェックを行います。
STEP:13 最終検品・修理完了
リューズによる巻き上げや、文字盤や針のズレなど最終検品を入念に行い、洗浄したバンドを付けて元の時計状態に戻しのお客様へ返送となります。
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