ヨーロッパ中央に位置する国ドイツは、古くから家具製造が盛んで優秀な技術を持った職人を数多く輩出しており、伝統を重んじながら革新的且つ耐久性に富んだ家具を製造しています。
1929年、バルセロナ博覧会のドイツ館設計を担当した世界的に有名な建築デザイナー、ミース・ファン・デル・ローエがスペイン国王アルフォンソ13世夫妻の為にデザインした独創的で洗練された椅子が、後に名作家具として語り継がれる事となる逸品「バルセロナチェア」です。
この椅子は、翌年の1930年から商業用として一般販売をスタートし、たちまち世界中で大ヒットを記録、ハリウッド映画のセットや各界の著名人に愛用されるようになります。
ドイツの革命的デザイン集団が集まった建築学校「バウハウス」出身のミース・ファン・デル・ローエは、1938年にナチスの迫害から逃れるためアメリカに亡命、「バルセロナチェア」はアメリカKnoll社に家具製造権を移し、販売が継続されます。
ドイツ時代の製法に納得がいかなかったミースは、アメリカKnoll社に改善を要望、この期待にKnoll社は見事に応え、現在もKnoll社のライセンスにより名作家具として製造されているのです。
バルセロナチェアの特徴は、ステンレス製のX型フレームを基本とし、贅沢にレザーを使用した曲線的・且つ重厚感にあふれるデザインと、包み込むような極上の座り心地にあります。
椅子としてだけでなく、インテリアとしても機能する革新的なデザインは他の追従を許さず、無二の存在として世界中の高い評価を獲得しています。
デザイン・機能・素材と3拍子そろったバルセロナチェアは、高い耐久性も合わせ待ち、一生モノの家具として定評がありますが、どんなに高品質な家具でも長い年数使用し続けると、経年劣化や使用環境により傷や破損等のトラブルが出てくることは避けることができません。
現在、日本のKnoll社ショールームは2025年3/31付で閉鎖しており、Knoll Japanは解散しています。
Knoll社製造のバルセロナチェアについては、MAARKET社が業務を引き継ぎ販売を継続、修理・メンテナンスに関しても業務・受付窓口です。
窓口は東京都にあるMAARKETトーキョーになっており、正規販売品についてはKnoll社時代販売の物も受付しています。
また、近年は優秀な技術を持つ家具修理専門店も増えており、あえてそちらへ依頼するユーザーも多くなっています。
ここでは、バルセロナチェアの修理・メンテナンスについて、正規担当サービスと家具修理専門店の対応内容・料金・納期などについて紹介して行きます。
現在、バルセロナチェアを愛用している方々は、是非この機会に読んでみてください。
Contents
ミース・ファン・デル・ローエ「バルセロナチェア」正規修理・メンテナンスサービスの作業内容・料金・納期について
ステンレスを素材としたX型フレーム・厳選された上質なレザー・極上の座り心地と独自の完成されたデザインが特徴の銘品、バルセロナチェアですが、経年劣化や使用環境による傷や破損等のトラブルから逃れることはできず、定期的なメンテナンスと傷んだ個所については修理作業を施す必要があります。
デザイナーのミース・ファン・デル・ローエがドイツからアメリカに亡命し、Knoll社に家具製造権を与えドイツ時代の疑問点を解消してからその製法は現在も変わっておらず、正規メンテナンスサービスによって現行から旧モデルまでメンテナンス体制が行き届いています。
バルセロナチェアの場合、主な修理・メンテナンスが必要になる箇所は、独自のX型フレームの劣化による部品交換や、チェア本体のレザー部が傷・破れなどにより傷んだ場合の補修・張り替えなどです。
日本の場合、Knoll社ショールームが2025年3/31付で閉鎖、日本での販売・メンテナンス受付は変わってMAARKET社が継続、正規修理・メンテナンスが可能です。
窓口は東京・青山にあるMAARKETトーキョーになっており、依頼を受けた製品については全て預かり後の見積りを取り、料金・納期については見積り確定後の連絡になっているので、事前の確認はする事ができません。
ですので、日本でバルセロナチェアを所有している方が、正規メンテナンスサービスを依頼する場合は、予算・納期について充分な余裕を見る事が重要です。
また、バルセロナチェアの正規サービスは正規品の修理・メンテナンスのみを受付しており、プロダクト品等は受付していないので注意しましょう。
バルセロナチェア修理問い合わせ・メンテナンス依頼
MAARKETトーキョー 住所:東京都港区北青山2-7-15 TEL:03-6432-9446 営業時間:12:00~19:00 水曜日休み またはEメールアドレス info@maarket.jpにメールで問い合わせ
ミース・ファン・デル・ローエ「バルセロナチェア」を家具修理専門店に依頼した場合の料金・納期等について
ドイツを発祥とし、現在はアメリカKnoll社が家具製造権を所有、製造が続けられているバルセロナチェアですが、修理・メンテナンスが必要な場合は正規販売店を通して正規の修理・メンテナンスを依頼するのが無難です。
しかし、近年は優秀な技術を持つ職人を配した家具修理専門店が増えており、予算や納期など、もろもろの事情で正規サービス以外の依頼法を考えている人は、家具修理専門店にお願いするのもおすすめの方法です。
バルセロナチェアを家具修理専門店へ依頼するメリットは、料金がお得になる事・納期もある程度の目安が示されており、正規サービスよりも早い事などが挙げられます。
逆にデメリットとしては、あくまで純正素材を使用した正規修理ではない事、修理専門店の数が多く、依頼する修理店によって技術にバラツキがある事が難点です。
ここでは、バルセロナチェアの家具修理専門店・修理の目安料金を見てみます。
バルセロナチェア修理可能箇所 | 家具修理専門店料金(概算・目安) |
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内部クッション交換(/枚) | 17,270円/枚~(概算・目安) |
革張り替え | 150,000円~(概算・目安) |
その他 | 応相談・要見積り |
このような料金になっており、家具修理専門店の場合、修理内容の一部については基本料金設定の目安があり、依頼がしやすくなっています。
納期もMAARKET社正規サービスの場合、製品預かり後見積り金額決定後に連絡となりますが、家具修理専門店の場合は約1ヶ月間程度が目安となっています。
また、MAARKET社正規サービスと同様に、家具修理専門店も往復の運搬料が別途かかり、これについては近年、日本全国の運送料金高騰の為、高額になりがちでモデル・大きさによって変動しますので、依頼の際どちらも確認が必須です。
しかし、家具修理専門店の中には送料サービスを行っている所もあり、依頼の際は十分な修理店の検討が必要になります。
ミース・ファン・デル・ローエ「バルセロナチェア」を家具修理専門店に依頼する場合の注意点は
家具修理専門店はお店の数が近年増加しており、修理店に在籍する職人の技術によって仕上がりに差がある事が多く、慎重に店舗を選択する事が必要になります。
理由として、経験の浅い・また技術力の低い職人が作業を手掛けてしまうと、製品の状態を的確に見極めることができず、満足のいかない仕上がりにならないことが多々見受けられる為です。
特にバルセロナチェアの場合、使用している素材や組み立て・構造についても独自のこだわりが多く、担当する職人には高い技能・経験が求められます。
そのため、バルセロナチェアの修理経験を豊富に持ち、熟練した高い技術を持つ職人が在籍する修理店を探し当てることが大切になります。
修理専門店に在籍している職人の力量など情報をできる限り集めて、慎重に検討を行い、できれば来店時に担当する職人と直接面談を行い、作業内容を細かく確かめておくことが大切です。
ミース・ファン・デル・ローエ「バルセロナチェア」を修理・メンテナンス依頼する際の留意点まとめ
ステンレスを素材としたX型フレーム・厳選された上質なレザー・極上の座り心地・ドイツハウハウス理念を原点とした機能美徹底追及の他にはまれなデザインが特徴の銘品・バルセロナチェアですが、使用の状況・経年劣化による傷み・修理・部品交換等のトラブルは避けることができず、日常のお手入れはもちろん、定期的に修理・メンテナンスを施すことが大切です。
修理・メンテナンスを依頼したい場合、通常は現在の日本正規販売元・MAARKET社を通して正規サービスに依頼するのが妥当です。
しかし、正規サービスの場合、納期・料金が見積りになり事前に分からない・また高額になる例が多いなどの理由から、あえて正規サービス以外に優秀な技術・実績を持つ家具修理専門店を利用する人も多くなっています。
家具修理専門店は納期の早さ・お得な作業料金などメリットが高いですが、優秀な職人が在籍する修理店を選択しないと、満足のいかない仕上がりになる可能性がありますので注意が必要です。
それぞれの長所・短所をきちんと踏まえた上で、要望に沿った修理専門店を選択し、十分検討して依頼・決定をするようにしましょう。